著作権侵害の成立要件
著作権の帰属
著作権侵害訴訟において、原告が著作権侵害の主張をする場合、まず原告は自己が著作権者であることを証明・主張する必要があります。
その他に、
1.被告の著作物が原告の著作物に依拠して創作されたこと
2.被告の著作物が原告の著作物と類似すること
3.被告が著作権法に定める利用行為を行ったこと
3点の主張・立証することが必要となります。
- 説 明 -
<依拠性>
著作権は、特許権と違い相対権であるため、著作権侵害が成立するためには、被告の著作物が原告の著作物に依拠(ある表現に基づかれている・依存されている)して作成されたことが必要となります。依拠性の認定は、類似点の程度、被疑侵害者の社会的立場、創作性の高低等をもとに総合的に判断されます。
<類似性>
1.判例の判断基準
著作権侵害が認められるためには、被告の著作物が原告の著作物と類似性を有することが必要です。この点、判例では「他人の著作物における表現形式上の本質的な特徴を直接感得できるかどうか」との基準によって類似性の有無を判断しています。
2.表現の共通性
類似性が肯定される為には、著作物の「表現」が共通している必要があり、アイデアが共通するにすぎない場合には類似性が否定されます。
3.創作的部分の共通性
類似性が肯定される為には、著作物の「創作的」部分が共通している必要があり、創作性のないありふれた部分が共通するにすぎない場合には類似性が否定されます。
4.創作性の高低と類似性判断
近年、類似性の判断にあたり、著作物の創作性の高低を考慮する裁判例が現れ注目されています。この考えによれば、創作性の高い著作物については、類似性が肯定されやすくなり、創作性がそれほど高くない著作物に類似性が肯定されにくくなります。かかる判断手段は意匠の類否判断の手法と近似しています。